春山合宿報告
期間:2000年3月21日〜28日
山域:笠ヶ岳広サコ尾根(途中敗退)
参加者:安倍健太郎(3年、C.L.・装備)
         小川朝成(1年、食料・医療)
行動記録
3月20日
  18切符で高山まで行く。早朝にも関わらず赤旗作りでお世話になった福大山岳部の日野さんが見送りに来てくださる。鈍行列車で死んだように眠り続け23時過ぎに高山に到着。

3月21日(晴のち曇り)
8:35槍見8:55→15:15 1700m(T.S.)
登山口に不要品をデポし歩きはじめる。錫杖沢出合までトレースあり。そこからは膝下くらいのラッセル。小川が1P目からバテ始め、ペースが上がらず予定の1900mまでたどり着けず。テン場になりそうなところに荷物を置いて安倍が偵察兼トレース付けに行く。広サコ尾根からの支尾根の末端付近まで見てくる。テン場は大規模な全層雪崩が起きないかぎり大丈夫そうである。

3月22日(雪のち曇りのち晴)
4:00起床5:45発→11:30 2150m→13:00 2240m岩場下(T.S.)
→fix工作→14:30 T.S.に戻る
出発時からしんしんと雪が降っている。小川のペースは非常に悪い。ラッセルはうっすらとトレースもありすね〜膝下くらいでそれほどでもないが荷物が重くてしんどい。安倍のワカンが破損したりして今日も行程ははかどらず、核心の岩場を越えるのは明日に持ち越しとする。明日の為に空荷でザイルをfixしておく。右手のルンゼにルートを取った。
テン場は岩場の手前の非常に狭い場所。小さいテントはどこにでも張れてとても便利。槍・穂高・焼岳の展望が素晴らしい。

3月23日(快晴のち曇り)
4:00起床5:45発→8:30クリヤの頭→9:45雷鳥岩→11:45 T.S.
fixロープをプルージックで通過。クリヤの頭直下は雪崩そうなひろーい斜面の登り。右手の第一尾根に突き上げて、そこから隠れシュルンド通過の為空荷でロープを張る。雷鳥岩までの登りは部分的に雪壁状で重荷には非常にこたえる。雷鳥岩に着くころからようやくアイゼンがききはじめる。ペースが遅く疲労が激しいので今日笠ヶ岳山荘まで行くのはあきらめテン場を探しながらのんびり行く。雷鳥岩から2つ目のコルに雪庇に気を使いながら斜面を切って整地してテントを張る。テン場に着くころから視界が悪くなってくるが、その後さほど悪化しなかった。

3月24日(風雪)
4:00起床5:45発→6:30引き返す→7:00朝のT.S.に待機8:00沈澱決定
朝、視界は100mくらい。昨日は見えていた南西尾根は見えないが、それほど風が強くないので出発することにする。2500mピークの登りは急で時間が非常にかかりそうだったので巻いていくことにする。始めは雪も締まっていたが、岩の部分を下り気味に巻いて行く箇所で腰上のふかふか雪となり嫌な予感がした瞬間、足元や周りの雪が動きはじめものすごい勢いで雪崩れていった。トレースを切断面に30〜50cmの表層雪崩。このまま進むのはまずいと思い、とりあえずT.S.まで戻り気持ちを落ち着かせることにする。視界が一向に回復せず、風も強くなってきたので沈澱にする。この日小川がこの先進みたくないことを表明する。なんとか笠アタックで折り合いをつける。

3月25日(風雪)
沈澱
もう縦走には行かない事が決まったのでガスの空焚きをして暖を取る。吹きさらしの稜線上なのでキジ打ちに行くのは命懸け。こんなときに限って尿意が近くなるので嫌になる。チェスをしたり読書をしたりのんびりと過ごす。

3月26日(風雪)
沈澱
冬型が弱まらず今日もひどい風雪。風が強い分テントが埋まらないので雪かきしなくて済む。夕方、明日の好天とその翌日からの悪天がラジオから伝えられた。明日アタックに行っても下山はもうしばらく先になることを小川に伝えると下山したいと言い出す。雪崩に対してはっきりとした自信が持てないこともあり、また笠アタックを強行してもあまり意味がないと思い明日もう下山することに決める。

3月27日(曇りのち晴)
4:00起床 待機 7:15発→8:45雷鳥岩→9:30クリヤの頭→20:30樹林帯(T.S.)
朝依然として視界が悪く風も多少あるので待機する。完全に明るくなって出発する。連日の荒天でクリヤの頭までの斜面は氷化しており2Pスタカットする。クリヤの頭まで来ると風もなくなり青空が見え始め久しぶりに気分が晴れ晴れする。クリヤの頭直下の斜面は大量の新雪が積もっており雪崩が恐い。木を支点にしてまっすぐスタカットで下る。2240m岩場の下りもスタカットで下りようとするが、最後に下りる安倍が恐くなって途中の木を使ってロワーダウンして、小川は登り返して懸垂下降とややこしくなった。ここをクライムダウンするのは恐ろしすぎる。そこからは猛烈なラッセルとなり先頭は空荷で交代して進む。途中安倍が隠れたシュルンドにはまったり、ラッセルがひどくてなかなか先に進めない。クリヤ谷に入るといくぶん歩きやすくなり、今日は元気な小川が先行してワカンのない安倍を置き去りにしてぐんぐん進んでいく。上空にはヘリが何台か飛んでいる。一日で余裕で下山できると踏んでいたが、暗くなりはじめ夏道から外れて迷ったので下山は明日に持ち越すことにする。テントを張り終えた時には真っ暗だった。

3月28日(曇り)
5:00起床6:30発→7:40槍見
50mくらい下ったところで夏道と合流。槍見に下山し合宿終了。
  inserted by FC2 system