平成12年度春山合宿報告


山域:北アルプス(燕岳‐大天井岳‐常念岳‐蝶ヶ岳)
期間:平成13年3月13日‐18日
参加者:安倍健太郎(4年,C.L.),松尾慶孝(久留米大2年,S.L.),
          上村達也(久留米大2年,医療),大山千聡(1年,食料),船越陽(1年,装備)


行動記録:
3/13(快晴)  
     5:35宮城ゲート→10:30中房温泉→12:55第2ベンチ(T.S.)
 薄暗い中歩き出す。林道にも積雪たっぷりだがトレースに助けられまずまず
のペースで進む。中房温泉は雪が少なく、合戦尾根取り付き付近は所々土が
露出している。出だしの急登もトレースばっちり。少し早いが予定通り第2ベンチ
に幕営する。
 

3/14(快晴) -2℃  
     4:30起床5:35発→7:35合戦小屋→9:30燕山荘→10:30燕岳→
     11:10燕山荘(12:40雪洞完成)
 アイゼンをつけて出発する。今日もトレース完備だがペースがいまいち上が
らない。合戦の頭で先行していた東工大WV部に追いつく。トレースをお借りした
お礼がてら挨拶すると、我々と同ルートを取るそうだ。早い時間に燕山荘に着く。
燕岳を往復し、時間があるので雪洞を掘る。
 

3/15(吹雪) -4℃
     4:00起床5:30パッキング終了8:30沈澱決定
 寒冷前線通過に伴う悪天。2年生がゴーグルを持ってきていないことが発覚
する。何度か出発を試みるが、あきらめる。雪洞を拡張し、入口を広くしてから
また寝る。夕方から晴れる。
 

3/16(快晴) 0℃
     4:00起床5:25発→6:15蛙岩→10:35大天井岳11:00→
     13:55常念小屋(T.S.)
為右衛門吊岩(?)の通過は少しいやらしかった。切通岩を通過し大天井岳の
登りにかかる。一箇所もろいガレの急斜面がありスタカットをするがそれ以外
は特に問題なかった。東工大WVと一緒に大天井岳で大休止。望月さんから
聞いた足立さんのケルン(であろうもの)に石を積み、黙とうをする。大天井から
常念小屋までは遠かった。横通岳のトラバースは右足首への拷問に近かった。
 

3/17(晴れのち曇りのち雪) -5℃
     4:00起床5:20発→6:30常念岳→8:00 2512mP→11:45蝶槍
     →12:45蝶ヶ岳ヒュッテ→14:00長塀尾根上部(T.S.)
早朝に常念の登りをこなす。夏道を大きく外したりとルート取りがあまりよくない。
常念からの下りは急で結構緊張する。しばし樹林帯のラッセルをし、やけに
でかく見える蝶槍の登りにかかる。蝶槍での休憩中、天気が悪くなってくる。
雪混じりの強風の中蝶ヶ岳のだだっぴろい稜線をすたこら歩き、長塀尾根に
滑り込む。ワカンを付けて、小一時間下ったところで行動終了とする。
 

3/18(雪のち晴れ)  -5℃
     4:00起床5:15パッキング終了5:30発→9:55徳沢→13:15上高地
     →15:00中の湯
2時間くらいで徳沢まで下れるとふんでいたがマーカーを見失うなどして意外と
手間取る。下からのトレースと合流してからは一直線。徳沢園で 狂暴そうな犬
に吠え立てられる。船越のワカンが欠陥商品であることがわかり、上高地までの
平行移動で安倍のを貸すが、その後、後悔した。中の湯では見事なタイミングで
バスが来て難なく下界の人となった。



全体反省
◎歩くペースが遅かった
トップはほとんど松尾が歩いたが、合戦尾根ではトレースがあるのにラッセル並みのペースであったり、稜線上でも歩くスピードが遅いと感じた。計画よりも行程を短縮していることを考えるとこんなもんなのかもしれないが、これから上のレベルを目指していくには、もっとスピーディーに長時間歩ける体力が必要だと思う。

◎ 個人装備の不備
久留米大の2人がゴーグルを持ってきていなかった。今まで経験した山行で必要性を感じなかったからだそうだが、吹雪いているときにゴーグルが無いと視力を著しく失い安全性も低下する。また、こういう風に自分の考えを入れていくと、例えば予備の手袋や靴下、非常食などを減らしたりということにつながりかねない。リーダーから指示されたものは必ず持つようにすべきである。個人装備に対する議論や理解の不足があったことが原因であると思う。

◎ 上級生の下級生へのケアの不足
行動中上級生が下級生へ注意を促す場面が少なかった。なんでもいいので気づいたことは口に出して言うことを指示していたが、今回は天候もよくルートも比較的やさしかったのでその必要が無かったのかもしれない。しかし、もっと厳しいルートではこうした細かなケアが重要になってくると思う。特に今度から2年生となる二人はこのように後輩に対して注意を払うことは、結局は自分の為になるので、最初のうちはやり過ぎと思うくらいやって欲しいと思う。

◎ ラッセルが少なかった
合戦尾根にトレースがあり、当初の目的であったラッセル技術の向上はそれほど果たせなかったように思う。トレースの横をラッセルする気概も無かった。他大学の入山が多い3月上旬よりも下旬のほうが(ルートによるものが大きいと思うが)トレースの無い確率は高いように思う。

※ 総括
テント内での生活技術が冬山から格段に向上し、朝の出発もスムーズにいったことが非常によかった。参加したみんなの、テント内を整理しようという意識が高かったからだと思う。今合宿はラッセル、雪洞、クラストした斜面の登下降・トラバース等のアイゼンワークなど、基礎的な雪山技術を多く習得できた有意義な合宿であったと思う。冬山では途中下山した松尾・大山も最後まで行くことが出来てよかった。体力不足は今後の課題だがこれをステップにして、より安全でレベルの高い登山を目指していって欲しいと思う。(記 安倍)



個人感想・反省
安倍健太郎
今回の合宿は、参加したメンバー一人一人が自分のやるべきことをきちんとやれた非常に良い合宿だったと思う。特にテント内でみんなが整理整頓するように心がけ、食事の準備も手際よく協力してやる姿はとてもうれしく思った。ルートはひたすら歩くという感じで特にヤマ場というものも無かったけど、とても楽しかった。特に大山には楽しませてもらった。これからも頑張っていきましょう。

松尾慶孝
◎今合宿の反省
合戦尾根、大天井岳、常念、蝶槍と登りのたびにペースが遅いという体力不足に悩まされた。そのため周囲が見渡せずに、危険なところにルートを取るということがあった。S.L.としての役割を果たすことができなかったと反省している。
◎年間を通じて
 一年間九大と一緒にやってきて「文化」の違いがあることに一番戸惑った。食料、朝の違いなど小さなことから大きなことまで多種多様だった。
 ほとんど安倍氏に任せきりになっていた計画を次回から私がメインとなってやっていくわけだが、九大との連絡を密にしていくことが必要だと感じた。また、合同で活動をするということは双方の学校、OB、保護者を巻き込むということだと知った。
 来年度リーダーとしてやっていくために今回の反省点である体力をつけ、リーダーとして恥じることの無い者としてやっていく。体力をつけることで余裕を持たせ周囲を見渡し、よりよい方向に向かうことができると思います。

上村達也
反省点
◎冬山の反省でもありましたが、リーダーシップをとれたかという点は行動中の危険な稜線上などで1年生のことを常に頭に入れるように心がけており1年生を引っ張っていくことができたと思います。しかしルートファインディングは、疲れてくるとつい目の前にある歩きやすいルートをとってしまい間違うこともありました。そしてつい安倍さんに頼ってしまうこともありました。その日のルートをちゃんと頭の中に地形の概念とともに入れてなかったことが反省すべき点です。
◎ゴーグルを用意していなかったのは、今まで風雪の強い日に行動した経験がなく今回も大丈夫だろうと自分で勝手に判断しまった点です。この甘い考え方は非常に危険であることを実感しました。
◎あと恥ずかしいことに天気図が書けないという点です。1年の時のうる覚えの状態で長い間書くことがなかったので、いざ書くとなると自信がありませんでした。これからは繰り返し書く練習をし、確実に正確な天気図を書けるようにしたいです。

大山千聡
この合宿では体力不足が原因でバテまくったけれど最後まで歩き通せてよかった。生活技術については朝の出発およびテント内の整理ともに、冬山のときより改善できたと思う。雪上技術については基本的に問題は無かったと思うけれどバテてくると歩き方がいいかげんになってくるので気をつけたい。この春山合宿は冬山での失敗を生かせた有意義な合宿であったと思う。
◎食料係の反省
食料係としての役割は果たせたと思う。工夫した事は冬の時のラーメンの餅が重かったので薄く切って軽量化したことと、メニューにカレー・シチュー・ハヤシ以外のものを加えたことなどでした。

船越陽
今回の合宿はとにかくよく歩いたという印象が強い。合戦の頭までの登り,大天井岳、常念岳、蝶槍の登りはとてもきつかった。また、膝までのラッセルを少しだけやってすぐに息があがってしまったが、リズムとコツを覚えたので良い経験になった。冬山が意外とあっさりしていただけに雪山に対する意識が多少甘くなっていたのかもしれない。合宿前トレーニングも少なかったと思う。今後はもっと走り込みなどをして体力を向上させると共に、危機管理能力をもっと高めるべきだろう。
生活技術は冬山に比べてかなりの向上が認められた。その理由としては,どこに何があるのかを把握していたということと,出したものはすぐにしまうということを徹底させていたからだと思う。
合宿前準備も,団体装備は早く終えたが今回は時間的な余裕があったにも関わらず、個人装備は集合の1時間前に終わるという慌しさだった。何故だろう。
今後はもっと困難なルートを目指して毎週の活動をやっていきたい。
◎装備係の反省
 準備も早く終え合宿での不備も無かった。ただ、ストックや無線機が使えるのかどうかよく調べなかったのはまずかった。


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