2001年度冬山合宿報告

山域:北アルプス横尾尾根
期間:12/27〜1/4
メンバー:松尾慶孝(久留米大3年、CL)、船越陽(九大2年、SL・食料)、
           上村達也(久留米大3年、医療)、高田広崇(九大1年)、
           馬締亮太(久留米大1年)、安倍健太郎(九大OB、装備)

行動記録:
12/26 離福

12/27(晴れ)
6:00中の湯発〜7:00上高地〜8:36明神池〜9:40徳沢〜11:15横尾にて幕営

  釜トンネル通過後、1年馬締が遅れはじめる。明神池から安倍、馬締以外のメンバーで横尾
へ先に行ってテントを張りその先の偵察をする事にする。総じてトレースあり。P1のコルまで
偵察しその先もトレースがあることを確認する。

12/28(曇り)
3:00起床、5:00発〜5:40P0・1のコル〜6:15P1〜9:30P2〜13:06P3〜16:20幕営、偵察隊帰幕
 
 出発時に輪かんをはく。P0・1のコルへの取りつきが暗くてわかりづらかった。赤旗を立て
るべきであった。総じてトレースがあり迷うことなく進む。P2の登りでは1年が遅れ気味であ
った。P2からアイゼンをつける。船ー高ー安、上ー馬ー松のコンテで進む。P3の登りは1P
目は船越がリードでfixを張り、上村パーティーがプルージックで登ったあと安倍、高田を上げ
る方法をとる。2P目はコンテ。3P目は3mほどの岩を直登。4P目もコンテ。P3頂上より
少し下った樹林帯で幕営。松尾、船越で偵察に行きナイフエッジにfixを張る。今日もトレース
あり。

12/29(快晴)
3:00起床、5:10発〜7:45P3・4のコル〜9:25P4T峰〜11:15U峰〜11:20ごろテント紛失、
テント捜索〜12:40捜索打ち切り〜14:20V峰〜P4頂上手前にて幕営16:00過ぎ

 雲1つない快晴。出発してすぐのナイフエッジは少し苦戦する。少し行くと懸垂下降地点へ。
20mほど懸垂下降するとP3・4のコルへ。3のガリーはかなり急そうであった。P4T峰はfix
をはる。登り方は昨日と同じ。U峰は2Pfix。ここでテントを紛失する。
―テント紛失の経緯―
 テントは最後尾の松尾のザック本体と雨蓋の間に挟んであった。紛失後、安倍の指示の元、ザ
イル、スノーバー、バイルを持って安倍、松尾、上村で捜索に行く。槍沢側へ懸垂下降して探し
に行ったが見つからずに、あきらめて引き返す。樹林帯であればツェルトと雪洞で泊まれるだろ
うと判断し、行動を続ける事にする。
 V峰へは1Pfix。そこから少し行くとP4頂上へ到着。少し戻ったところの樹林帯にてツェ
ルトを張って幕営。この日の話し合いによりP5にて雪洞を試み槍アタックのBCとすることに
決める。雪洞が出来なければ今の場所をBCとし、南岳アタックをする事にする。

12/30(吹雪)
4:00起床、7:30発〜8:00引き返し〜ツェルト設営〜9:50偵察隊出発〜11:30P5手前引き返し〜12:15幕営地
 
 朝から風と雪が強い。出発準備中に船越のアイゼンが破損し一時ツェルトを出して待機。出発
後しばらくして1年高田が胸の痛みを訴え、引き返す事にし沈殿する事にする。場合によっては
ヘリコプターを呼ぶ事も考える。ツェルト設営後、高田の調子が回復する。松尾、船越、安倍の
3人でP5へ偵察、雪洞作成を試みることにする。P5手前のピークまで行くが視界が悪く吹雪
も強かったので引き返す事にする。先ほどつけたトレースも消えかかっていた。

12/31(快晴)
4:30起床、7:30発〜10:20P5手前のピーク〜11:45偵察隊発〜12:30横尾の歯  
〜13:501ピッチ目開始〜引き上げ〜15:30帰幕
 
 P5手前まではひざ上までのラッセル。出発後1時間ほどして高田が胸の痛みを訴えたので荷
物を置き空荷で行かせ、上級生がダブルボッカする事にする。P5手前の尾根に到着後雪洞を掘
り松尾、船越で横尾の歯へ偵察に行く。横尾の歯手前に福岡大学山岳部が幕営しており、歯に
fixしてくれいた。歯は社会人8人パーティーで渋滞しており、1P目のみ偵察して引き返すこ
とにした。天気予報では翌日午後より天気が荒れ、2,3日続くとの予報であった。

1/1(曇りのち吹雪)
2:30起床、3:40槍アタック隊発〜5:00横尾の歯〜5:401ピッチ目開始、撤退
〜6:50再開〜8:003ピッチ目終了〜9:45稜線直下100m地点、引き返し〜2:50帰幕
 
 出発時は風がなかったが、歯に到着したときには風が強くまだ暗い。途中バイルを落とし探し
に戻る。1P目通過後かなりの強風であったので一度引き返す事にする。風が弱まり明るくなっ
て再開。1P目終了後初日の出が見えた。2P目途中で社会人3人パーティーに追いぬかれる。
2P目、3P目も問題なく進む。残置fixは使用せず、真中の者はプルージックで行く。ここから
先もコンテで行く。次第に視界が悪くなり、松尾が遅れ気味であったため稜線直下100mの所
(横尾の歯で会った社会人に聞いた)で引き返す事にする。横尾の歯は風が激しく通過にかなり
時間がかかる。吹雪が激しくなり視界15mほどであった。P6過ぎたあたりで間違った尾根を
進んでいる事に気付き途中の赤旗のところまで戻る。14:10ごろ先ほどの社会人と出会いルート
を教えてもらい帰幕する。この日安倍、馬締は横尾の歯手前まで行く。
 この日の話し合いで、今後の天気が不安定という事、また今日の行動で精神的に疲れアタック
に対して意欲がなくなった等の理由により下山することを決定する。下山ルートは降雪が多くP
5尾根も不明のため往路を引き返すことにする。

1/2(雪)
5:00起床、7:30発〜V峰下り間違う〜12:10U・V峰のコル〜18:00P3・4のコルにてビバーク

 先日会った社会人が先行していたのでトレースはあった。P4V峰の50m懸垂下降で船越が
ルートを間違え途中曲がるべきところをまっすぐ下降してしまう。自己脱出を行うが、プルージ
ックのロープシュリンゲが凍って手惑ってしまいかなり時間がかかる。U峰の下りもルートを間
違う。50m×2P。T峰下りは25m×2P。P3の登り返しにfixを張っておく。P3・4のコ
ルに着いたころには暗くなっておりここでツェルトでビバークする。

1/3(雪)
7:30発〜13:30P2〜15:40横尾非難小屋

 登り返しの時に馬締がアイゼンの片方を紛失する。P3下りは一部ラッセル。2P懸垂下降す
る。P2より輪かんをはく。トレースあり。この日は横尾非難小屋に泊まる。

1/4(雪のち曇り)
9:00発〜11:20徳沢〜12:50明神池〜12:30上高地〜16:50中の湯

 徳沢までラッセルする。馬締のパッキングが悪く肩を痛めて遅れる。16:50中の湯着。
 

反省

○リーダーシップ:リーダーは行動全体を常に把握して指示を出すべきだ。安易な決断はしない。
今回はOB安倍がいたためどちらがリーダーなのかわからない場面が多かった。

○体力:毎回反省に挙がる事だが全員体力がない。これは週末の活動よりも平日のトレーニング
の欠如による原因の方が大きい。トレーニングは強制するべきだ。

○技術:fix、重荷での懸垂下降にに時間がかかりすぎている。これは登はん技術が下手だか
らだろう。野北の懸垂をボッカでやるのも必要なのでは。樹林帯の下りは先が見えず間違えやす
い。登る時に赤布を多用しておけば良かった。空荷で先に下る事も場合によってはすべきだ。
プルジックが凍り付いて使用できなかった。荷揚げ、自己脱出、プルジックの研究が必要だ。

○生活技術:朝の準備が遅い。ツエルトの使い方を研究する。テント、スノーバーをなくすなど
全体的に雑であった。テント外での技術がなっていなかった。

○夏山後の活動:反省があいまいで結局夏山の反省が生かせていない。活動もマンネリ化してい
て、危険認識が低くなる原因であり、加えてリーダーシップを必要としない。このような事が今
回の合宿に影響した。岩、沢をもっとやるべきだ。また毎回の事だが計画立案が遅い。

○今回の合宿はこの1年間の活動成果が悪い意味で良く現れたものとなった。1つ1つ見ていくと
色々な問題が挙げられるが、全体を見ると安全認識、リーダーシップの欠如といった1度では身
につかない物が問題となる。やはりリーダー会、意味のあるリーダー会を絶対に必要だ。
 
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