2002年度夏山定着合宿報告 
 

8/3(土) 快晴 出発
博多駅に中溝先生、安倍さん、小林さん、吉田さん(九産大)が見送りに来て下さった。差し入れにスイカ1玉頂く。感謝。
大阪駅ではOBの望月さんが来てくれた。相変わらずの話しっぷりで合宿の不安も和らいだ。

8/4(日) 晴れ 入山
08:20室堂出発〜08:54雷鳥沢〜10:55別山乗越〜11:47剣沢小屋〜14:16真砂沢着
 室堂駅に着くなり第一声は「寒い!」。天気がよく周りの山々の雪渓を見て2年前に来た時のことを思い出す。懐かしい。
気合を入れて出発する。雷鳥沢の上りも2ピッチで別山乗越まで行き、問題の1年生もバテなかった。剣沢のテント場は多い。派出所の前で警察の方から、
同じ福岡の出身ということで色々とアドバイスを受ける。警察『遭難したらいつでも呼んでくれ。すぐに駆けつけてやるから。』
なるべくお世話にはならないよう心掛けたい。剣沢雪渓は途中で小滝が出来ていた。今年は雪が少なそうだ。登山靴の磨り減った馬締は苦労している様子。
真砂のテント場は関東を中心に大学山岳部のテントが張ってあった。

8/5(月) 晴れ 雪訓
04:00起床・05:00発〜07:15雪訓場(熊の岩付近)〜14:00雪訓終了〜14:50BC
 起床時間が伝わってなく5時過ぎに起きた所もあったが、時間どおりに出発した。長次郎谷出合は八ツ峰の下部が崩壊しており大量の土砂が雪を覆っていた。
自然の脅威を感じる。雪訓は熊の岩手前付近で行う。レーンを作成したが雪が硬い。今年はループ突き刺しで1年生が苦労しそうだと、大山と二人でにやける。
今日はグリップビレイまで練習したが今年の1年生は静動確保が上手だ。途中大山が登攀の偵察に行く。朝から剣稜会ルートは大人気のようだ。

8/6(火) 晴れ 源治郎尾根縦走
04:00起床・04:45発〜05:30尾根末端の取り付き〜08:30ルンゼとの出合〜10:30T峰〜11:40U峰〜13:00剣岳山頂〜平蔵谷〜16:15BC
 源治郎尾根は末端から取り付く。今日源治郎に来ているのは私たちのだけのようだ。下部は木登りでザックに取り付けたピッケルが邪魔くさい。
忠実にルートを辿るが、ルンゼとの出合を過ぎて道を間違い、2,3ピッチスタカットで登る。僅かに踏み跡も残っているのでT峰目指して進む。ここで時間をくう。
その後は道に戻ってU峰からの懸垂も難なく下る。懸垂地点のシュリンゲがやたら多くどれを使うか迷う。
見覚えのあるシュリンゲもあった、まさか2年前のものではあるまい。みな疲れた様子で山頂に上る。
下りの平蔵谷は上部に雪がなくガレ場を通るため時間がかかる。下部の雪渓で船越が好例の雪渓ダッシュをするが、
のってきたのは大山だけで、1,2年生は後方で不思議そうな目で眺めていた。まあ、怪我しないように下ったほうがいいのかも。

8/7(水) 晴れ 雪訓
04:00起床・04:50発〜06:30雪訓場〜14:30終了〜15:30BC
スタカットの残りとコンテの練習を行う。上級生が落ち役をしたが、回数を重ねるごとに恐怖→快感へと変わっていくのが落ち役の楽しみだ(と私は思う)。
ループ突き刺しでは、今回もまた難なく止められてしまう、なぜだろう・・・。

8/8(木) 晴れ 八ツ峰縦走 
03:30起床・04:20発〜05:20TU峰間ルンゼ出合〜7:30UVのコル〜10:45XYコル〜14:50八ツ峰の頭〜長次郎谷左俣〜17:00BC
 TU峰のルンゼは全く雪が残っておらず、ガレ場を忠実につめる・・・、つめた筈なのになぜか気付くと渋い草付を登っていた。
下るのも難しいので踏み跡らしいのを見つけてやや強引に突き進む。源治郎での反省が活かされていない。そしてUVのコルに出てしまった・・・。
思えばここ数年九大はTUのコルに辿り付いていない。今日は八ツ峰縦走者はほとんどおらず、独り占め気分だった。
天気もよく後立山、槍ヶ岳がはっきり見え、みんな槍をバックに写真を撮っている。ミーハーな奴らだ。
その後は順調に進むが、やはり懸垂の準備に時間がかかったからであろう、制限時間ぎりぎりでXYのコルに到着。
Y峰の登りはなかなか迫力があり、岩も脆い。Y峰以降尾根のスカイラインをたどり困難なところもない。
なんとなく阿蘇の北尾根のような印象を受けたのは私だけらしい。チンネもはっきり望め左稜線登攀者の声が聞こえる。
最後の登りは少し難しく緊張させられる。八ツ峰の頭に到着したが、いつものことながら早月方面はガスで何も見えなかった。
長次郎谷左俣のガレ場下りで、船越が転倒して左ひざの皮がめくれる傷を負う。
意外と痛みは無く、出血も無かったので雪渓ダッシュでBCに帰り1年生に傷の手当てをしてもらう。
今年の1年生は2人とも医療に詳しいので大助かりだ。それにしてもBC到着の感動のあまり?興奮して馬締が鼻血を流しながら戻ってきたのは笑えた。
馬締『先輩、怪我は大丈夫ですか?』
おまえのほうこそ大丈夫なの?!

8/9(金) 曇りのち雨のち曇りまたまた雨・・・ 沈殿
04:00起床・05:00発〜07:30Y峰Cフェース取付き点〜待機〜09:30撤退〜10:30BC
 起床時は曇りだった。今日船越は剣沢の診療所で傷を見てもらうことにし、他のメンバーは登攀へ向かう。曇りから長次郎谷途中で雨に降られ、
皆Cフェース取り付き点で待機する。後から社会人5,6パーティー、大学生10名ほど来て待機するが、次々と引き返していく。9時半撤退決定。BCに戻る。
船越は診療所で見てもらった結果、今後は自分で治療し登攀も出来そうである。午後は雲りだったので、小屋の横の岩でボルダリングをする。
なかなか難しい課題もあり面白いが、大山との差を存分に見せ付けられた。

8/10(土) 晴れ時々にわか雨 Y峰剣稜会ルート・富山大ルート
04:00起床・04:50発〜07:00Cフェース取付き・07:30開始〜11:00終了/08:30Dフェース開始〜12:30終了〜15:00BC
 剣稜会ルートは今日も大人気で先行パーティーが1組、後ろから2組取り付いていた。RCCは全くいない。
3ピッチ目と4ピッチ目が少し難しかったが、他は快適であった。1年生は少々怖がっていた様子。4ピッチ目からDフェースが見えてきたのだが、
富山大ルートのほうからうめき声が聞こえて来る。下半はとても渋そうだ。後続に1パーティーいただけで、途中から雨が降り出してきた。
BCに戻るといつの間にかテントが増えていた。社会人が多い。多分明日のチンネは大盛況であろう。

8/11(日) ガス時々雨 上級生:チンネ左稜線/1年生:立山縦走(中止)
03:00起床・03:50発〜06:00XYのコル〜08:40三ノ窓〜10:30取付き〜17:45終了〜19:10三ノ窓発〜三ノ窓雪渓
〜20:10ビバーク決定〜21:00三ノ窓BP
 朝、長次郎谷上部は濃いガスがかかっている。長次郎谷途中で他の山岳部パーティーが大勢でチンネに向かっているようだったので
負けじと急ぐ(結局チンネではなかったようだ)。池ノ谷ガリーに出てから三ノ窓の場所が分からず時間を食う。とにかくガスが濃い。
三ノ窓から取り付きへは岩の基部を巻いて行くが意外に遠い。
取り付きは2ピッチ目の凹角からだ。先行パーティーの声は遠くからするが全く見えず、実質的には我々だけで、先日とは違い静かなクライミングだ。
しかし周りがガスで何の景色も見えなかったが、その分高度感がなく怖くない。3年-2年のパーティーでつるべ方式で登る。
本ちゃんルートが初めての2年生も問題なく登る。今回無線機を使用してBCの1年生と交信を試みたのだが、文句なく通じた。
高田は頻繁に実況中継をしていた。不安定な天気もとうとうT5の核心手前で雨に降られてしまう。
寒さと、そしてなんといっても岩が濡れているのでフリーでハングを越える気力もなく、シュリンゲ掴みまくりの何でもござれで何とか登りきる。
雨の中の登攀はこんなに恐ろしいのか。そして最終ピッチを終了しみな安堵感からため息が出る。長かった!しかし最後までガスが晴れることはなかった。
下山は三ノ窓雪渓を下ったのだが、日も暮れ先の雪渓の様子が分からないので、戻って今日は三ノ窓でビバークすることにする。
1年生には無線機でその旨を伝える。三ノ窓にはテントが2張りあった。星がとても見事な夜だった。
1年生は途中、松岡が足の痛みを訴えたので剣沢の診療所で見てもらい、治りそうにないので二人ともBCへ引き返すよう無線で指示をした。

8/12(月) 曇り 雪訓テスト
05:00BP発〜長次郎谷〜08:30雪訓〜11:00終了〜13:00BC
 朝ガスがかかっており長次郎谷を下ることにする。途中で1年生に雪訓の準備をして来るように無線で呼び出す。
雪渓が日に日に融けており雪訓場にクレバスがせまっていた。テストは柘植ひとりだったのだが、やはりループ突き刺しは苦戦していた。
全て終了し歓喜の声が上がる。上級生でもテストが終了するとうれしいものだ。
BCへ戻るとH大の馬鹿でかいテントが消えており周りの大学山岳部のテントも消えていた。どうやら恒例の『打ち上げ』というものは絶滅してしまったらしい。
 
8/13(火) 曇りのち晴れ 下ノ廊下ロングラン/継続登攀
〈ロングラン〉03:00起床・04:00発〜06:30仙人池〜09:40関電宿舎〜12:20白竜峡〜16:00黒部別山沢出合〜17:40撤退決定〜24:20十字峡BP
 仙人池への途中で雨に降られる。仙人池ヒュッテで下ノ廊下の情報を聞くと「絶対無理」との答えが返ってくる。誰にでもそう答えているのだろうと思うが、
少し不安に駆られる。関電の宿舎まで行くともうそこは下界の夏であった。蝉がせわしく鳴いており雲ひとつない青空で暑い。
 どこにも残雪の気配がない!大きな吊橋を渡ってからは3人ともハイキング気分で陽気に進む。
十字峡を過ぎても全く問題ないので3時にはビバーク地点に着くだろうと思っていた矢先、白竜峡で雪渓に行く手を阻まれる。
ザイルを出して2年馬締を偵察にやるが行けそうにないので雪渓の上を渡ることにする。
いつ崩壊するかも分からず祈るような思いで通過したときには3時間経過していた。
そこから先の道も所々崩壊しておりワイヤーの手すりにカラビナを掛けつつ進む。黒部別山沢は完全に雪渓で埋まっていた。
雪渓を渡り崖の道に移った所で道が崩れ去っており進退窮まった。ここから先も雪渓処理が難しく見通しがたちそうにないので撤退することにし、
途中でビバーク出来そうにないので時間がかかっても安全な十字峡まで戻ることにする。日が暮れヘッドランプで行動する。
白竜峡の雪渓越えは技術的に難しかったがなんとか通過し、真夜中に十字峡に着く。3人とも大変疲れていた。

8/14(水) 晴れ    
〈ロングラン〉07:00BP発〜14:00仙人池〜17:00BC
 朝遅く出発する。今日は快晴で、仙人池までは暑さと急登のため思うようにペースが上がらない。昼過ぎに仙人池に到着すると、
昨日情報を聞いた小屋のおばあさんにもてなしを受ける。大変心配を掛けていたようだ。
BCに戻ると登攀隊も帰って来ていた。周りは社会人が大半だが、その中で私たちのテントが一番長くいるのではないだろうか。

8/15(木) 雨 下山
06:00起床・07:50発〜13:00室堂バスターミナル
 名残惜しい真砂沢を後にする。出発後まもなく雨に降られ、室堂までやまなかった。今合宿で本格的に雨が降ったのは初めてだ。
雨の中の下山はあまり気持ちのいいものではない。
 
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