2002年度夏山縦走報告
○山域:北アルプス(北叉〜西穂高〜上高地)
○期間:2002年8月17日〜同27日(実働10日沈殿1日)
○参加者:高田広崇(九大2年、P.L.)、馬締良太(久大2年、S.L.)、柘植俊介(九大1年) (九大:九州大学、久大:久留米大学)
○行動記録:
8月16日(移動日)(晴れのち曇り)
富山13:31⇒14:15泊14:30⇒15:50北叉小屋(T.S.)
北叉は標高が低く、蚊に悩まされた。天場は僕ら以外いない。小屋もいないようだった。ラジオは入らず。水が甘かった。
   
8月17日(1日目)(晴れのち霧)
4:58起床6:15発→9:35イブリ山頂→11:30朝日小屋(T.S.)13:28→14:00朝日岳(→14:38 朝日小屋)
 定着明けが準備&移動だったので、疲れからか、寝坊した。昨日タクシーの運転手が北叉からはきついと言っていたので心配していたが、
いいペースで進めた。樹林帯は気分が重くなる。イブリ山からは木道も整備されており、楽だった。朝日小屋の人が草刈をしていた。
夕日ヶ原はもう時期を過ぎていたのか、花は少なかった。登る人は他に1人だけであった。朝日小屋では、去年のお礼にメロンを渡すと、
ジュースをもらってしまう。覚えていてくれたことに感激した。テントを張って、朝日岳をピストン。山頂で飲んだジュースがおいしかった。

8月18日(2日目)(晴れのち霧)
4:00起床5:10発→8:45雪倉岳9:19→12:03白馬岳12:40→15:40天狗山荘(T.S.)
 今日もいいペースで進めた。出発のとき、管理人さんが来て、和菓子とチョコの差し入れをくださった。お世話になりっぱなしで申し訳なかった。
雪倉山頂で中高年女性3人パーティからビスケットをいただいた。三国境の手前で、今回初、ライチョウを見る。白馬の登りあたりからガスってきた。
村営頂上宿舎を過ぎてガスと風がひどくなるが、天狗に無事到着した。
   
8月19日(3日目)(霧のち雨)
4:30起床6:02発→10:02唐松岳→12:44五竜山荘(T.S.)
 不帰瞼を考え、明るくなって動くことにした。ガスが濃く、風もあったが行けると判断し動いた。キレットは問題なく通過。
唐松岳は完全にガスっていた。頂上山荘で水を汲もうと思ったが、ないようであった。大黒岳手前から雨が降り出す。
白岳の登りでかなり降ってくるが、五竜山荘に着くころには小雨になり、隙を突いてテントを張った。テントは1張りのみ。
終日カッパ上下。夜かなり降る。

8月20日(4日目)(霧と雨)
五竜山荘にて沈殿(4:00起床、7:00沈殿決定)
 ガスが濃く、雨風が強いので、待機とした。ちょうど台風13号が日本に接近していたようである。コースタイムを考え、
最終決定時間を7:30としたが、回復の兆しがないので、7:00に沈殿を決定した。小屋泊まりの中には動いた人もいたようである。
馬締の嗜好品のおかげで飢えずにすんだ。後で、この日つぶれたテントもあったと聞いた。

8月21日(5日目)(霧)
4:00起床6:32発→7:30五竜岳→11:58鹿島槍ヶ岳南北コル→13:56冷池山荘天場(T.S.)
 ガス、風は相変わらずだが、雨が降ってないので動くことにする。日が昇ればガスが晴れるかもと思って、
しばらく小屋の軒先で様子を見、すこしガスが薄くなったので出発した。同じ方向に向かう人が5人ほどいた。
五竜の登りでライチョウがいた。つい最近、五竜で転落事故があったらしい。八つ峰のキレットもガスっていたが、問題なし。
南北コルより、北峰ピストン。天場に着くころにはガスはかなり晴れる。テント6張りほど。夜、寒かった。

8月22日(6日目)(快晴のち晴れ)
4:00起床5:26発→6:33爺ヶ岳中央峰→7:51種池山荘→11:39赤沢岳12:07→14:27針ノ木岳→15:08針ノ木小屋(T.S.)
 ものすごく晴れている。剣が美しい。放射冷却だろうか、朝餉の水蒸気がフライで凍っていた。ポールが冷たく、手がかじかんで、
テントをたたむのに苦労する。軍手が必要。せっかくなので、日の出を見て出発する。
爺ヶ岳からは富士山、これから向かう槍ヶ岳などがみえ、元気が出る。
種池山荘でカッパ上下を脱ぐ。快晴だと、明け方はとても寒く日中は暑い、と両極端である。
今日、種池山荘には中学生180人が来るそうである。同じ向きの登山者10人ほど。横に剣を眺めながら歩く。
黒部湖も見える。真砂はどの辺だろうか?ピストンだろう、針ノ木岳は人多い。テント、ぎりぎりのスペース。
明日、稜線沿いに行くか谷に下りるか協議をする。結果、今までのペースを考え、船窪まで5h30mのタイムリミットを設け、
稜線沿いに行くことにする(タイムアウトのときは船窪泊)。3:00起きとし、17:30に寝る。

8月23日(7日目)(曇り)
3:00起床4:00発→4:55蓮華岳→6:37北葛岳→8:15船窪分岐→12:47不動岳13:25→15:19烏帽子岳分岐→15:46烏帽子小屋(T.S.)
 今日は、晴れることはないと思い、水を全員で4リットルとして軽量化を図った。真っ暗な中ヘッドランプをつけて出発。
山頂に写真を撮っている人が1人いた。蓮華までは予想外に時間がかかり、少し不安になる。しかし、その後のペースは順調で、船窪まで4h15mで着く。
それからは南沢岳まで樹林帯で、みんな重い空気。不動岳の山頂には新しい標識があった。
烏帽子岳分岐で、烏帽子岳に登ると言う馬締を残し高田・柘植は先に烏帽子小屋へ(計画書には「→烏帽子岳」とあるが、誤植)。
水は、1リットルほど残っていた。天場に着いてから、疲れたとばっかり言っていた。
今日の行動が長かったこと、明日の行動は10hであることを考え、明日は5:00起きにする。17時ごろから少し雨が降る。
小屋の人の話では、明日は雨で、明々後日は晴れとのこと。

8月24日(8日目)(霧雨のち曇り)
5:00起床6:16発→8:34野口五郎小屋→8:57野口五郎岳→11:11水晶小屋→12:27鷲羽岳12:53→13:25三俣山荘(T.S.)
 一日ガス。加えて、烏帽子の天場は木に囲まれて風はなかったが、岩稜線に出るとひどい風であった。
三ッ岳はよくわからなかった。8時ごろからは断続的に強い雨も降り出した。 野口五郎小屋は「休憩\200」とあって、一同びっくり。
吹きさらしの中慌しく休憩。野口五郎岳は通過。水晶小屋くらいから雨はやむが、風、ガスは相変わらず。
何人か登山者と会う。三俣山荘は静かだった。ラジオは入らず。一日中カッパ上下。単独行に明日は晴れると言われた。

8月25日(9日目)(霧のち快晴)
4:00起床5:15発→6:02三俣蓮華岳→7:05双六岳7:35→8:02双六小屋8:42→12:38槍岳山荘(T.S.)12:47→
13:07槍ヶ岳(13:55→14:15槍岳山荘)
 三俣蓮華までは完全にガスっていて、憂鬱だったが、双六岳直下から、急に快晴に。
山頂では40人のツアー客と共にブロッケンも見ることができた。
双六小屋はかなり大きく、天場も快適そうであった。ここで、槍岳山荘は水が有料ということ、そんなにきついコースではないだろうということを考え、
持てるだけの水を汲んでいく。全員で、11.5リットル。だんだん大きくなる槍に元気付けられながら進む。槍はそれほど混んでいなかった。
晴れていたが、まわりの山々はガスっていて、景色はよくなかった。指定された天場はせまかったので変更してもらったが、それでもせまかった。
双六小屋で汲んだ水のおかげで、槍岳山荘では買わずにすんだ。

8月26日(10日目)(晴れのち曇り)
3:00起床4:02発→4:52中岳5:18→6:02南岳→9:24北穂高岳9:42→11:26穂高岳山荘(T.S.)12:20→
13:58前穂高岳(14:18→15:20奥穂高岳15:45→16:00穂高岳山荘)
 今日も行動時間を考え、3:00起きとした。真っ暗な中、新穂高温泉の灯を見ながら進む。中岳で日の出を見た。
大キレット、天候も悪くなく順調に通過。奈良大W.V.に会う。今日は同じ行程らしい。A沢のコルで休んでいると、
逆走の単独行中高年から「落石の危険がある」と注意をうける。西穂で前日、死亡事故があったらしい。
北穂山荘でかなり長めの休憩。穂高岳山荘の天場もせまく、崖っぷちに張っているようなかっこうになってしまった。
ピストンは1つのザックに荷物を入れ、交代で背負った。予想以上に時間がかかってしまった。疲れがたまっていたのだろう。

8月27日(11日目)(霧のち晴れ) 
3:30起床4:35発→5:05奥穂高岳5:29→6:10ジャンダルム基部→6:58天狗のコル→8:17間ノ岳→9:19西穂高岳→
11:10西穂山荘→12:36西穂高登山口(上高地)
 奥穂〜西穂は完全に明るくなってから突入することにして、奥穂山頂で日の出を見た。
奥穂までは晴れていたが、奥穂を出てから、ガスってきた。奥穂〜ジャンダルムが最も危険と感じた(特に馬の背)。
天狗のコルの上に新しい花がビンにいれてあって、ドキッとした。
この日は、ルートを見失ったらやばいと思って、ガスの中、目を凝らしたが、途中何度か見失いかけた。逆走する人、20人くらいいた。
奥穂からピラミッドピークは天狗のコル以外はずっとガスに巻かれていた。ピラミッドピークからは雲の下に出たという感じで晴れていた。
独標〜西穂山荘は人が多い。サンダル履きの人もいた。西穂山荘から樹林帯をひたすら下る。下山パワー炸裂。登山口で、3人握手。
上高地は相変わらず、人が多かった。

○共同装備
テント(DUNLOP V-608)一式、ラジオ、ツェルト、かずこ(ろうそく中×3、おたま、しゃもじ、細引き)、医療箱、ガス大×3、鍋×1

○考察
装備:
テントはDUNLOPにしておいてよかった。かなり雨が降ったので、エスパースでは大変だっただろう。ただ、槍穂付近では満足に張れないこともある。
ガス缶は1つほぼ完全に手付かずであった。ご飯が炊き上がってからカレーを煮込むのが常(ご飯炊いている間に野菜を切る。)だったので、
ガスヘッドは1つでも足りた。炊き込みご飯のときはなおさらである。故障の可能性は否定できないが。
天気図:
ゆうパックに入れたつもりが入ってなかった。送ったもののリストを作ったほうがいい。
食料:
エッセンについて、一考の余地あり。今回の縦走は完全なエッセン不足だった。
炊き込みご飯は簡単でいいと思った。ただし、おかずをつけないと物足りない。
最終日前日(穂高岳山荘)で、2食分食べたが(1日分を残して)、食い過ぎできつかった。
今回は天候のせいであまり暑い日がなかったので、行動中の水の消費が少なかったと思う。もし晴れている日ばかりだったら、水がもっと必要だっただろう。
体力:
今年は、特にみな、バテるということはなかった。バテないペースで進んだというのもあっただろうが、
コースタイムをオーバーしてないので、いいのではないかと思う。休憩はほぼ1時間ごとにとった。休憩時間は平均で15分くらいか。天気のいい日ほど長かった。
今回は去年の縦走(大山隊)のようにひどい靴擦れはなかった。柘植が少しかかったくらいか。

○感想
 今回はP.L.ということで、いい意味で好き勝手にやらせてもらった。計画段階から、多少の相談はしたものの、ほとんど独断であった。
地形も、コースのほとんどは去年行ったので、把握できていたことも精神的に楽だった。初めてのコースでは、ここまでうまくいかなかったかもしれない。
定着後で、体力的に不安を抱えていたが、今回の目標であった、朝日と穂高4つに行けてうれしく思う。
柘植、馬締もがんばってついてきてくれたと思う。思えば、柘植がいちばん元気であったのではないだろうか。
2年二人がハアハアいっていても、柘植は平気な顔で立っていた。
松岡が参加できなかったことは残念であった。
 
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