2004年度新歓合宿報告

文責・松岡沙紀子

期間:2004/05/01/Sa−2004/05/03/Mo
山域:九重山系
参加者:CL松岡沙紀子(3年)・SL高田広崇(4年)・佐藤綾子(2年)・柿原秀俊(1年)・佐藤大介(1年)・牧山弘毅(1年)

2004/05/01/Sa 曇 博多駅07:45⇒(ゆふ1号)⇒09:33豊後森駅10:35⇒(バス)⇒11:54長者原12:00⇒(バス)⇒12:10牧ノ戸峠12:29→12:53沓掛山→13:37扇ヶ鼻13:51→久住別れ14:17→15:30法華院温泉峡15:41→15:52坊ガツル

先輩も後輩もきちんと定刻に集まり、切符を購入して、豊後森駅行きの特急ゆふ1号乗車。昨夜なんだかんだで準備を終えたのが深夜だったので眠いのなんの。豊後森駅まで眠りこける。豊後森駅でバスに乗り換えてからもひたすら爆睡。終点・牧の戸峠で柿原に起こされる。
牧の戸峠に来るのは2年生の秋以来。トイレの水道で水を汲んで(普通の水道水なのに、何故か高田は嫌がる。雪山で飲む雪解け水よりよっぽどうまいのに)、いよいよ登山口から出発。最初は中途半端に舗装された、だらだらとした上り坂。 階段にセメントをどろどろと垂れ流したような舗装の仕方で、段がはっきりしないので、どこに足を置いていいか分からず非常に歩きづらい。しかも重登山靴は足首が固定された構造になっているので、固くて平たいアスファルトの上では逆に足にダメージ。 沓掛山の頂上で舗装がなくなり、一安心。突如として目の前に開けた山々(しかしミヤマキリシマが咲くにはまだまだ早いのでひたすら禿げ山の連なり)を眺めつつ、扇ヶ鼻分岐へ下る。
扇ヶ鼻分岐から星生山へフルボッカで登るのは少々キツいのでやめて、南側の麓・西千里浜を巻く。久住分れから左に折れて、北千里浜へ向けてガレ場を下る。
真っ平らな北千里浜に降り立ち、左にもうもうと噴煙を上げる硫黄山を見ながら奥へ。諏蛾守越へと向かう分岐を右に折れると、法華院温泉の山小屋と坊ガツルキャンプ場がもうすぐそこに見える。かなりな数のテントが色とりどりに立ち並んでいる。
法華院温泉の小屋の前で一休みしていたら、向こうからワンダーフォーゲル部がやって来た。そう言えば彼らのGW新歓合宿は毎年九重のはず。どうやら向こうも坊ガツルにBCを張るらしい。
新人4人は、QUACならではの燃料を節約する料理法(加熱時間を短くするために野菜を徹底的に小さく切る)やテントオーダー(テントの中で誰がどこに寝るかの順番)などの生活技術にいろいろとカルチャーショックを受けていたようだ。初日はまぁこんなもんか。カレーを平らげて、早々に就寝。

2004/05/02/Su 
曇のち雨 坊ガツル05:33→06:43段原→07:00大船山07:13→07:27段原→08:39風穴→09:45高塚山頂10:03→11:00風穴11:14→12:34大戸越12:48→13:28坊ガツル

04:30起床。起床係の号令に皆飛び起きる。食事係は松岡、メニューはラーメン。06:00頃出発をみていたが、皆準備が素晴らしく早く05:33出発。
本当は縦走らしく綺麗に一筆書きで山から山へルートを繋ぎたいが、九重は山をひとつひとつ登るという感じのルートが多くて、意外と縦走には向かないようだ。
まずは大船山へ。昨日の夜の雨でぬかるんだ樹林帯の道を暫く歩くと、尾根の分岐・段原へ飛び出す。そこからはもう山頂が目の前。風の強い山頂で、ひとまず休憩。さすがに絶景。硫黄山の煙や、坊ガツルの色とりどりのテントが見える。 朝早いだけあって人はいない。寒いのでゆっくりもできず、すぐに来た道を戻る。
さっきの段原の分岐から右に折れて、今度は黒岳主峰・高塚山へ。だらだらだらだらとうんざりするほどの下り道。坊ガツルより標高が低い所まで降りてしまった。
やっとのことで風穴に到着。休もうかと思ったが、面倒なのでそのまま高塚山への登りに入る。今までのだらだらとした九重の上り下りとは違って、かなりの急勾配。しかもガレガレにガレた道なのでずるずると蟻地獄の巣のように滑り、新人達もしんどそうだ。
1時間余りものキツい登りの末に、やっと高塚山頂上。
高塚山を下りはじめるころから、急に人通りが増えた。どうやら男池方面から入ってきた登山者達らしい。急な登りに、皆さん苦労している。
風穴に戻ってきて一休み。どこからか涼しい風が吹いてくると思ったら、地面に空いたいくつもの大穴がどうやらその出どころらしい。中をのぞき込んでみると、なんと一面に氷が張っている。冬の雪が溶けずに残っているのか、湧き水が凍るのか‥‥自然の不思議だ。昔は氷室として使われていた洞窟群なのかも知れない。
風穴を出発。ソババッケまで下ってまた大戸越まで登ろうと思っていたが、ソババッケに見るべきものは何もないし、一旦下ってまた登るのもバカらしいので、奥ゼリから分岐を左に折れてショートカットの登山道に入る。地図には難路とあり、さすがに人通りは少ないらしく道は細くて荒れているが、なんとか大戸越に直接辿り着くことができた。 そこから平治岳をピストンしようと思ったが‥‥雨はやむ気配もなく道は悪くなる一方だし、最初の勾配もキツそうだし、ガスで景色も悪そうだし‥‥。そんなこんなで松岡のモチベーションが結構下がり目になってしまったので、もうこのまま坊ガツルに戻ろう!と決めてしまう。今思えば行けないことはなかったが。
そのまままた樹林帯の道を延々と下り、1時間ほどでようやく坊ガツルに帰幕。夕飯まで大分あるので、思い思いに寛ぐ。夕飯の後嗜好品として焼酎を出したら、一部の新人には結構ウケた。もっと皆で飲んで盛り上がりたいなー。

2004/05/03/Mo 
雨 坊ガツル05:54→法華院06:07→分岐06:43→06:52すがもり小屋跡07:02→三俣山頂 07:47→08:14小屋跡08:30→09:40長者原12:30⇒(バス/九重I.C.で柿原下車)⇒ 13:45豊後森14:45⇒(ゆふ4号)⇒16:33博多

今日は起床係も食事係も新人にやらせた。ぱらぱらと雨が降っている。今日の朝食は雑炊、鮭と蟹のまぜたの。結構おいしい。出発の準備がほぼ整うも、雨が降り続いているので、止むまいと思いつつしばし待機。テントの中で雨具を装着する。顔を出して外の様子を確認するが、周囲の山々はガスって山頂が見えない有り様。
出発を決意。テントの外に出て、風に飛ばされないように注意しつつフライシート&テントを畳み、出発。まずは1日目に通ってきた道、法華院温泉から北千里浜へ抜けて、更に諏蛾守越まで上がる。
諏蛾守越避難小屋に到着、休憩。目の前にそびえている(しかしガスで殆ど見えない)三俣山をピストンするかどうか、しばし悩む。 他のパーティーもピストンするようだし、空身なら何とか行けそうだし、何よりこのまま下山するのは勿体無いし、と考え、空身でのピストンを決定。
ザックを諏蛾守越避難小屋に置いて、エッセンはおろか水すら持たない全くの空身で三俣山を登り始める。傾斜は多少キツく、地面はぬかるみ或いは所々ガレているものの、さすがに空身だけあってどんどん高度を稼ぐ。 しかしガスっていて何も見えない!!!傾斜が急に緩くなって、だだっぴろい広場に大きなケルンがあったので、てっきり頂上と勘違い。 しかしよく考えたらたった20分しか登っていないのに、いくら空身とは言えこれはいくらなんでも早すぎる。案の定、頂上ではなく西峰だった。気を取り直して先に進み、さらに上へ。 もう暫く登り、やっと本当の頂上に着いた(頂上に登る途中で、今度は南峰に間違って登るところだった。何しろ「三俣」山と呼ばれる通り、高さが同じくらいのピークが3つ並んでいる)。 ここもやはり雨風が強く、寒い!写真を撮っただけで早々に引き上げる。
諏蛾守越まで下って少し休み、荷物を取って出発。後はもうひたすらの下り。ガレ場を過ぎると舗装道路が現れ、左に見える(であろう筈の)ガスに覆われた硫黄山から吹き降ろす、喉の痛くなる噴煙にむせながらただただ下る。 佐藤(綾)と映画談義に花を咲かせているうちに、長者原のヘルスセンターが見えてきた。ヘルスセンターの裏手に一旦荷物を置き、 2階の温泉で3日間の汗を流す。合宿の後の風呂は、いつも格別。その後1階の食堂でとり天定食を食べる。 でもとり天て、唐揚げをポン酢につけただけじゃないの‥‥??なんにせよ下界に降りて食べるごはんもしみじみとおいしいもの。 こんなたった3日間の合宿ならまだしも、夏山合宿など2週間近くも山にこもった後では、生き返ったような心地。 その後バスに乗り、豊後森駅で特急に乗り換えて夕方に博多駅着。

感想・反省

CL松岡沙紀子(3年)
 今回最大の反省点は、なんと言っても平治岳に登れなかった、いや登らなかったことだ。天気は悪かったし、新人達も疲れてはいたけれど、登れないほどではなかったと思う。 私自身の平治岳に対するモチベーションがあまり上がらなかったことから、天気などのせいにして BCへ降りてしまった感がある。平治岳に登りたかった新人に申し訳なかった。 何度も来たことのある九重で、しかも3日の縦走合宿だったせいか、計画を綿密に練らないなど、全体的に自分のモチベーションが低かったような気がする。初心に返ろうと思う。

SL高田広崇(4年)
 今回はザイルも使わなかったし、行動に関しての反省点は特にない。一般道ということもあり、危険箇所もなかった。
 生活技術においても、一年生に経験者が多かったことからスムーズに指導ができたと思う。
 ただ、もう少しリーダー(松岡)に任せてよかった。事あるごとに細かい点まで僕が口出ししすぎたように思う。
 計画時点で、明らかに無理だと思われるコースが選ばれており、それについて何も言わぬままに了承してしまった。要は、九重だとタカをくくり、計画を仔細に見なかっただけである。 山中でそれに気付き、ルートを変更したが、本来あってはならないことであった。
 今後のことを考えると、新歓はやはり阿蘇でバリエーションが適当ではないかと思う。実質、五月の半ばからザイル操作を始めたわけであるが、その後の訓練を詰め込まないと夏に間に合わない、という感がぬぐえない。 やはり、長年新歓は阿蘇だったというのは理由があったのだと思った。阿蘇なら雨の日は動かないから、雨具・靴の心配もないし。

佐藤綾子(2年)
 まず第一に言えることは、先日の新歓キャンプは私にとって大成功に終わったということである。それは、無事にやり遂げたというただ一点においてだ。
 私は体を動かすのは好きだが、今回までキャンプの経験はもちろん、アウトドアの経験が全くなかった。それに加え、最近は運動不足ですっかり体が鈍ってしまっていた。当然、経験者と一緒に登ることができるだろうかという不安が登山前からあった。しかしまた一方で、なんとかなるのでは、という甘い考えもあった。
 登り始めてすぐの衝撃は忘れがたい。少しも進まないうちに足がわらい始めたのだ。慣れない運動に体がついていかない。予想外の事態に不安は一気に大きくなった。
 1日目をやりとげ、2日目を歩き続け、3日目無事下山を果たした。余談だが、私はこの下山の瞬間の方が、空に向かって飛び出したくなるような、山頂に辿り着いた瞬間よりも ずっと嬉しかった。それほど私にとって、今回とにかくやり遂げるということは高いハードルだったのである。
 こうして今回、素人の私が登り切ることができたのもひとえに、一緒に登った高田先輩、松岡先輩始め、頼りになる1年生のおかげである。深く感謝したい。
 最大の課題である体力を向上させ、次回の登山はよりよいコンディションでのぞみたいと思う。

柿原秀俊(1年)
 今回は個人的に失敗が多い山行だった。久しぶりの山行で、少々ボケていたのかもしれない。これから本格的に練習が始まると思うが、気を引き締めていきたい。
 まず、行程が頭に入っていなかった。これは、自分の中で先が読めないだけでなく、変な発言で先輩や新入生のみんなを混乱させてしまった。皆さん申し訳ありません。
 次に、新歓合宿だからと、甘く見ていたところがあった。 炊事の仕方や行動食、テント内での決まりなど、初めてで驚くことが多かった。固定観念に縛られず、一つずつ学んでいきたい。
 最後に、また平治岳に行くことができなかった。平治岳を目前にして登れなかったのは、これで二度目だ。 3年前の前回は計画が甘すぎ、今回は装備と体力に自信がなかった。せっかく九州に来たのだから、必ず登ってやりたい。まずは体力をつけなければならない。それから次回くじゅうに行くときは、長者原から牧ノ戸峠へ抜けるコースで行きたいと思う。
 先輩方、新入部員の皆さんお疲れさまでした。これから宜しくお願いします。

佐藤大介(1年)
 高校のワンダーフォーゲルを引退して以来の登山は、体力的にかなり問題があった。このままではいずれついていけなくなってしまうので、早めに体力を取り戻さなくては。
 それはそうと、久しぶりの登山は、ただ単純に楽しめたと思う。
 1日目、5:00に起床し、眠いまま牧ノ戸峠へ。登山道がコンクリートだったのには苦労させられた。とても歩きにくい。1日目はそれほど問題なかったが、驚いたのは、テント内で夕食を作るということだった。危ない事だと思う。幸い何もなかったけれど、ここが1番違う所だった。
 2日目、この日苦労したけれど楽しかったのが大船山だ。これが1番印象に残っている。やはり山頂で見る朝日はいいものだ。
 又この日、寝る時に鍋の上に足をのせていたら、翌日足が痺れるような感じでとても痛かった。これは慣れで平気になることなんだろうか。
 3日目の山はかつて見た事ないほど急だった。霧で何も見えなかったのは残念だ。
 今回はなんとかついていけて良かった。次に来る機会があったら、今回登れなかった平治岳に登りたい。

牧山弘毅(1年)
 感想:私は高校時代山岳部に入っていたにもかかわらず、福岡県外の九州の山を登るのは実は初めてであった。
 今回の九重合宿では九州本土最高峰の中岳に登ることはなかったが、それでも十分楽しませてもらったと思う。
 特に大船山頂からの景色は強く印象にのこっている。今回の合宿は他の九州の山々を登ることを楽しみにさせてくれた、という意味で私にとって有意義なものとなったであろう。無論九重山系にもまた行きたいと思う。
 反省:まず体力面については高校卒業後からトレーニングを兼ねて散歩をずっと行ってきた。そのお陰か合宿中の三日間、空荷とはいえ全くと言っていいほどバテなかったことはよかったと思う。だが、悪かった点もある。一番悪かったのはパーティマナーシップ面である。 チーフリーダーの指示が出る前にザックをおろしたり、ザックをおろしかけて先輩に指摘されたりしていた。このことは高校の山岳部で学んだことの中では基本中の基本である。意識の低さによる不用意な行動をとることが無いように努めたいと思う。又出発当日の朝、これから山に行く人間とは思えないほど私自身に緊張感が無かったことをはっきり感じとれていた。 これも意識の低さが原因であろう。今合宿の反省を生かし、私自身の山行への意識レベル(いまは高校時以下だろう)をもっとあげていきたいと思う。これから夏や冬の大きな合宿を視野に入れての活動が多くなると思う。最後にそれらの合宿に向けての私個人の具体的な目標をあげておく。
一;登山におけるパーティーシップの意識向上
二;体力強化(30Kg以上の重荷に耐えうる体力づくり)
三;クライミング全般の基礎技術習得>
四;天気図、読図、計画書づくりなどの知識の復活
五;新しく使う装備の知識、使用方の習得

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