8/6 晴れ 入山
室堂8:30～9:10雷鳥沢～11:20別山乗越～12:10剣沢キャンプ場～15:40真砂沢BC
室堂は夏とは思えないくらい寒い。この寒さが夏合宿の始まりを実感させた。差し入れのスイカは数人交代で運ぶ。この重さがなんともいえない。別山乗越にてエッセン解禁。まだ下界の味が忘れられないのか、あまり美味しいとは言えない。テントが立ち並ぶ剣沢キャンプ場を抜けると雪渓が目の前に。初めての雪渓に不安を抱きながらも何とか真砂沢BCにたどり着く。（坂）
8/7 曇り 雪訓１日目
4:00起床～5:00B.C.出発～6:00長次郎谷取付き～7:00雪訓場15:30～16:10B.C.着
午前中天気は良好。熊ノ岩より手前でレーンを作り8:00頃雪訓開始。船越先輩が バケツに立ち、松岡先輩の合図の下ピッケルストップの練習開始。一年生は練習と 船越先輩のサポートを交代で行う。午前中牧山・千先がひざを負傷、午後佐藤(綾) が滑落したため松岡先輩と牧山・千先・佐藤(綾)は先に帰幕開始。残りのメンバー は肩絡みまでやって帰幕開始。午後は谷の上部からガスが流れてきたため、午前中 とはうって変わって震えながらのスタカットとなった。（柿）
8/8 晴れ 雪訓2日目
4:00起床、5:10発～7:00雪訓場16:00～17:20B.C.
前日膝を痛めた千先・牧山はBC沈殿。残りは雪訓場へ。
レーンやバケツを整えて前日やり残したピッケルストップから再開する。しかし全てを終えることはできなかった。時間がないのでスタカットへ。肩絡み・腰絡み・ピッケル・スタンディングアックスビレイを順に行う。次にコンテ。ループ突き刺しで手間取る。体重をかけてもなかなか止まらない。その後、大阪府岳連座り込みを終える頃には時刻は16:00となり、もう一つの倒れこみは試験の日にすることになる。訓練を終えた者から帰る準備をしてBCへ戻った。（佐大）
8/9(1) 晴れのち雨 源治郎尾根縦走
メンバー：船越－佐藤大－牧山、松岡－佐藤綾－柿原
4:00起床、5:07発～5:56取り付き～12:00Ⅰ峰～13:20Ⅱ鋒～15:10本峰～18:30B.C.
取り付きは前回同様、尾根末端である。土砂が堆積した剣沢雪渓を登り、取り付きへ乗り移ったところで一息入れ登攀準備をする。取り付いてすぐの2ｍくらいの岩を乗り越すのに案の定、時間がかかった。待っていると茂みの中からニホンザルの群れが出てきて、すぐ目の前の木に登りこちらの様子をうかがっている。襲われたくないので、できるだけ目を合わさないようにする。樹林帯の中をひたすら進み右側のルンゼがはっきりと認められるところからコンテをする。１峰までは3回ほどザイルをｆｉｘして進む。取り付いてから6時間一度も休憩せずに１峰に到着したので、一年に疲れが見られる。自分の中では「２峰に13時まで」が制限時間としていたが、2峰に着いて考え直し、ここまで行程を考えると戻るのにも時間がかかること、コルから長次郎谷に下るのも１年生にとって非常に危険であることにより、時間がかかっても最も安全な本峰～平蔵谷経由で下ることにした。
コルへ懸垂し一息で山頂へ。山頂からの展望はない。このころから雨がぱらつき始め、平蔵を下る頃にはどしゃ降りとなる。1年生はガレ場下りに慣れていないため非常に時間がかかる。18時過ぎ、本日入山したＯＢ２名に迎えられ帰幕。かなり心配されていたそうだ。（船）
8/9(2) 晴れのち雨 雄山ロングラン
メンバー：PL坂根、金、千先
B.C.5:05～5:55平蔵谷出合6:00～6:30劔山荘分岐点6:40～7:20劔沢診療所7:30～8:40別山稜線8:50～9:50真砂岳10:00～10:55雄山山頂～11:35真砂岳12:10～12:50別山稜線13:00～13:55旧劔沢小屋跡14:00～16:00B.C.
鉄人二人とケガ人一人(千先は雪訓で膝を痛めた)のパーティー。かなりよいペースで劔沢まで登る。診療所前には入山時に会ったテレビクルーがまだいた。別山乗越方面と別れ急登に取り付く。ここに来て金のペースががっくり落ちる。聞くと｢胃が痛い｣と言う。別山稜線で一休みした後、別山山頂には向かわず巻き道を通って雄山方面へ向かう。氷河期のカールを左右に見つつ稜線上を進む。黒部方面はガスっていて何も見えなかった。稜線上はやはり一般登山客が多かった。不調の金を真砂岳2860ピークに残し二人で進む。富士の折立は細長い岩塊でピークには立てない。大汝山手前で千先も限界を感じて待機し、坂根一人で雄山へ向かう。しかし雄山神社付近で子供の大集団が行く手を阻んでおり、頂上を踏まずに引き返した。大汝で千先、真砂で金を回収。このとき源次郎尾根隊の柿原と無線交信して計画から大幅に遅れていることを知った。あとは下るだけだったが、疲れた足にガレ場は辛くてペースが大幅にダウンする。B.C.手前で｢エーイエイ｣のコールが聞こえた。米澤さんかもしれないと思ったが、よく分からずコールを返すことができなかった。挨拶をした後米澤さんは源次郎隊を探しに雪渓を登っていった。すぐ後から友野さんも追いかけていった。B.C.に戻ってしばらくすると激しい雨が降ってきた。米澤さんがびしょ濡れで帰ってきて、｢平蔵谷まで行ったが、下山している気配が全然ない｣と言った。いつまでたっても帰ってこないため、遭難したかもしれないと気をもむ。米澤さんの指示に従って、明日捜索に出ることにして、カレーを作る。心配であまり味が感じられなかった。みなが帰ってきたときは本当にほっとした。（千）
8/10(1) 晴れ 八ツ峰縦走（下半のみ）
メンバー：船越－坂根－松岡、OB米澤－牧山
4:00起床、5:10発～6:37取り付き～9:00ⅠⅡのコル～12:10Ⅴ峰～14:30ⅤⅥのコル～15:50B.C.
体調不良により一年生のメンバーを金、千先から牧山に変更する。天気は今ひとつパッとしない。１･２峰間ルンゼ出合から１･２のコルまではルンゼの左側の草つき混じりのスラブを登る。ルンゼ通しのほうが草つきはないが、見た目では岩を乗越したりと大変そうである。一方、草つきのスラブもいやらしくルートファインディングが大変である。踏み跡も明瞭でないのでほとんど人が通っていないことが分かる。しかしそのおかげで、ほとんど手の付けられていない大粒のキイチゴを手に入れることができた。先頭の松岡がルートファインディングで苦労している中、後続の者はたらふく自然の恩恵を受けることができた。そのキイチゴを追っていったのが功を奏したのか、何とか１･２のコルに到着。定着合宿で１･２のコルに到達できたのは１０年ぶりくらいではなかろうか。
１峰からはガスでルートが分かりづらく少し迷ったが、そこ以外は尾根を順調に進んで行く。 ２峰あたりからガスも晴れ、長次郎谷がよく見渡せる。３峰で懸垂ザイルが回収できないというアクシデントもあったが他は特に問題もなく、５峰に到着。３峰過ぎたあたりで時間的に上半部縦走は中止と判断したので、せかされることもなくゆっくり景色を楽しみながらの行動であった。５峰では先行パーティーがルートを間違ったのか懸垂下降に苦労しているようなので、１時間以上頂上でのんびりする羽目となる。
下りの雪渓では米沢さんからグリセードを伝授される。グリセードというより'立ちセード'といった方がふさわしい。慣れてくると速度が出て非常に快適な下降である。もっと早くからこの技術を知っておけばよかった。（船）
8/10(2) ガスのち晴れ 雄山ロングラン
メンバー：佐藤綾 佐藤大 柿原
4:00起床、5:10発～7:30剣沢～9:00別山～11:00大汝山～11:30雄山～13:00別山～13:30剣沢～15:30BC
雪渓から上がって真砂沢までのルートを間違えたが特に問題は無かった。別山を一気に登りきる。ガスで視界が悪くなり、真砂岳に気付かず通過する。雄山は登山客であふれていた。山頂に登るのは有料であったため、支払い所の横で記念撮影だけをして気分を味わう。折り返して真砂岳あたりで無線交信時刻の12時すぎになったが都合よく3人で止まれる場所が無かったため、柿だけが交信のため止まり、佐藤２人は先に進む。別山手前で合流。大介は足の爪が痛そうだったが、ペースは最後まで落ちなかった。大介は翌日予定外に沈殿した。（佐綾）
8/11 快晴 八ツ峰Ⅵ峰登攀
4:00起床、5:00発～15:00B.C.
【Aフェース中大ルート）】
メンバー：船越、金、坂根
8:20取り付き、9:05開始～11:15終了11:30～12:00ⅤⅥのコル
長次郎谷で一部雪渓がツルツルの氷になっていたため、滑って危うく坂根がクレバスに落ちそうになったが、なんとか取り付きにたどり着くことができた。 中大ルート取り付きは魚津高ルートより少し右上に上がったところである。先行パーティーが２ピッチ目を終えるのを待って、登攀開始。１p目はルート図に「浅いチムニー」とあるが、単に浅い凹みといった感じでチムニーの定義がよく分からない。野北も阿蘇の西稜もチムニーと呼べるのかどうか･･･。３人集まればいっぱいの狭いレッジで終了する。２p目は高度感のあるカンテを登る。残地ハーケンは豊富にあるが良いクラックが走っているので、ナチュラルプロテクションがあれば面白いであろう。３p目はたいしたことない。Aフェースの頭で終了。ここに来てはじめてBフェースの全容が望める。Cフェースの登攀隊とコールを交わし５・６のコルに懸垂する。（船）
【Cフェース剣稜会ルート】
メンバー：米澤、柿原、牧山
8:10取り付き、8:45開始～11:45終了～ⅤⅥのコル13:30
朝、空は雲ひとつない快晴。登攀日和ではあるが非常に冷え込んでいた。長次郎雪渓は所々 滑りやすい状態になっていて苦戦する。Cフェース組は先に出発していた米澤先生を大いに待たせてしまい反省。取り付きにつくと僕らの前に2人組が２パーティ、後ろに３人組が１パーティいた。剣稜会ルートはやはり人気があるらしい。オーダーは米澤‐牧山‐柿原の順で一人ずつ登っていく。このルートは特に難しいところはないが、高度感があり好天も手伝い、眺望は最高である。僕は快適に登っていたが、柿原は２～４ピッチの登りで後ろのパーティのリードにぴったりついて来られていたのでやりにくそうだった。４ピッチ目の終了地点についた頃にAフェースの頭に船越先輩、金さん、坂根の３人がいるのを確認。そして最後の５ピッチ目を登りきってCフェースの頭へ。源次郎尾根や剣本峰が間近に見え、鹿島槍などの北アの山々もよく見えた。ⅤⅥのコルで合流後、皆でB.C.へと下った。（牧）
8/12(1) 快晴 源治郎１峰東面 中央ルンゼ～成城大ルート
メンバー：米澤、船越
4:00起床、4:55発～6:15中央ルンゼ取り付き、6:50開始～9:15ルンゼ終了～9:50成城大ルート開始～12:30終了～13:00Ⅰ峰付近～15:00頃BC
平蔵谷から中央ルンゼ取り付きへは雪渓がかろうじてつながっておりなんとか乗り移る。先行パーティーがいたので、米澤さんからペツルのボルトキットの使い方を教えてもらいながら待機する。ルンゼ内は暗く、阿蘇の谷のような雰囲気だが岩はしっかりしている。残地ハーケンは少ないがそれほど困難なところはない。１級の３p目は60ｍとあるが、ザイルいっぱい伸ばして３pにもなった上、ハーケンもない。その次の４p目はルンゼ通しではなく左の壁を伝って登ったのだが、易しいがピンがないので終了点を探すため上り下りしながら時間を費やしてしまった。ここから３ピッチくらいで中央バンドに着くが、ルート図どおりのルートかどうかは自信がない。中央ルンゼは上部壁へのアプローチのためのようなルートであった。
中央バンドで一息入れ、成城大ルートに取り付く。ここからは日当たりがよく爽快なクライミングを楽しむ。１p目米澤さんリード。２ピッチ目のテラスはなぜかキジ臭かったのでビレイヤーはたまらなかった。核心の４p目はリードさせてもらう。ホールドの細かいトラバースで、下はスパッときれ落ちていたので緊張し、無意識に息づかいが荒くなる。たまらずランナーをつかんでA0で登ったが、今思い返すと悔しい。狭いレッジでビレイをする。フォローの米澤さんはあっという間に登ってきてしまった。５p目を終了し無理やりハイマツを分け入って１峰手前の稜線に到着。成功の握手を交わす。長かった。ここで水が尽きてしまったがBCで冷たいビールを飲むことを約束する。
そこから３回の懸垂をして源治郎尾根を下降。途中、雪渓で喉を潤そうとしたがなんとか我慢しBCに戻って乾杯。（船）
8/12(2) 快晴 仙人池往復
メンバー：1年生全員
4:00起床 B.C.5:05～6:58仙人新道出会7:06～仙人峠～8:57仙人池10:07～11:32仙人新道出会11:52～13:27B.C.
登攀隊の2人を見送った後出発。出発後すぐの三ノ沢、四ノ沢付近で雪渓が切れていてルートに困るも、通れそうな場所を探し無理やり通過する。しかし通過に30分近くかかる。その後はルートにマークやテープがあり、迷うことなく進む。仙人新道出会を出ると黒部別山に遮られていた日差しが差し始める。一気に気温が上がり、暑い中を約500m登り仙人池へ。途中景色のいいところで休んだので2ピッチ。仙人池に着いて、まずヒュッテと池の近さに驚く。B.C.に帰るのが早すぎてもやることがないと思い大休止をとる。仙人池からの眺望は方向が限られているが、裏剣の眺望は美しかった。また快晴だったので池の水面に裏剣が映る「逆さ剣」も見ることができた。最後に集合写真をとり、ヒュッテの人とお話をしてからB.C.へ出発。池の平～北俣～仙人新道出会は雪渓がぼろぼろで危険とのことなので、復路は往路と同じ道を行くことにする。復路にて三ノ沢、四ノ沢付近の巻き道を見つけ、その道の途中に黒部湖方面への道があることもつきとめる。しかしB.C.の情報どおり、この分岐にも黒部湖方面は通行止めとはっきり書いてあった･･･。（牧）
8/14 曇り一時ガスと雨 劔岳本峰ピークハント
メンバー：PL船越、坂根、千先
B.C.6:00～6:30平蔵谷出合～7:30ガレ場～8:00平蔵のコル～8:30劔岳山頂9:00～10:30一服劔10:45～11:30クロユリのコル～12:00ガレ場雪渓～12:30B.C.
またまた鉄人二人とケガ人一人のパーティー。忘れ物を渡すため先行の米澤さんを猛スピードで追いかける。岩場の上ですぐに追いついたが、夢中になった三人はそのままのスピードで平蔵谷まで登ってしまう。長次郎谷よりもかなり急傾斜なのでキックステップを確実に踏む。谷もかなりのハイペースで登る。最後に脆いガレ場を登って平蔵のコルに着く。ガレ場に入った頃から雨が降り出した。コルはガスっていて何も見えない。ここからはハシゴ・鎖場が続くが、濡れている上に指がかじかんで動かず非常に怖い。しかしガスっていて下が見えないため高度感は感じられなかった。山頂はやはり人が多い。寒いのでツェルトにくるまってエッセンを食べる。写真を撮って下山。ガスっていて道がわかりづらい。併走していた人に聞きながらの下山。前劔では地図のとおり、トリカブトの群落があった。一服劔ではB.C.の柿原と無線交信。持参した無線機が不調だったが、そばにいた方が貸してくださり連絡をとることができた。劔山荘へ下りる分岐点で人が立ち話をしていたことに気を取られ、劔御前方面へと進んでしまう。クロユリのコルで間違いに気付き劔山荘へ下りた。途中でイチゴの群落を見つけてたくさん食べられたからよしとしよう、ということになった。今合宿で最後の雪渓下りをしてB.C.に帰った。（千）
8/15 曇り 下山
3:30起床 5:30発～剣沢キャンプ場8:00～11：20室堂
せっかくの下山なのに生憎の大雨。テントの中で一時待機。この日は下山すれば下界の美味しいものが食べられるとあって全員のペースが上がる。その反面、10日余り過ごしてきたこの地を離れることに対して寂しさも感じる。エッセンの味もいつの間にか美味しいと感じられるようになっていた。（坂）