2005年度 夏山縦走合宿報告書
○山域:南アルプス
○期間:8月23〜27(実働4日、沈殿1日)
○参加者:佐藤大介(2年、PL)・石原耕一・角朋彦・前田一樹(1年)

8/23 雨
4:38出発〜5:30二俣分岐〜7:40白根御池小屋〜11:24肩の小屋

前日のうちに広河原まで入っておいたので、出発は早い。朝食を食べて、出発。 二俣の分岐で角の腰痛がひどくなってきたためここでボッカ分け。食料・エッセン・燃料・医療箱。 白根御池の直前で土砂降りとなり、白根御池小屋で50分待機。小屋の方に広河原林道が閉鎖されるかもしれないから早めに下山したほうがいいと言われる。 雨が弱まった頃に再出発。草すべりの登山道では多くの蛭を見かける。 稜線に出ると、一部ガスだが、甲斐駒、千丈、富士山が見える。九州組は初めて見る富士山に大興奮。小太郎山の分岐を確認して、肩の小屋へ向かう。肩の小屋は標高3000m。

8/24 晴れのちガス
3:00起床3:47出発〜5:18撤退決定〜6:01肩の小屋〜7:11北岳〜8:15北岳山荘〜9:08中白根山〜10:30間ノ岳〜11:25三峰岳〜12:29熊ノ平小屋

角は腰痛のため小屋で待機。3人で小太郎山へ向かう。 しかし、まだ真っ暗で、おまけに濃いガスのため、視界0。何度もトレースを外し、ハイマツ帯と格闘した挙句、撤退を決定する。分岐に戻る頃には、ガスも晴れて小太郎山が見えた。 北岳では良く晴れていたので、長居する。来年の新歓用ポスター(坂根ポーズ前田ver.)を富士山をバックに撮影。 北岳からはペース落ちる。間ノ岳で一時雨に降られるが、すぐ止む。三峰岳には珍しく山頂を示す看板がなかった。 熊ノ平に着き、テント受付のために小屋に行くと、入った瞬間に去年の九大生?と言い当てられてしまった。去年のお礼を言いつつ、お礼の品と報告書を手渡す。熊ノ平には去年同様他に誰もいなかった。

8/25暴風雨
2:30起床3:37出発〜6:53北荒川岳〜9:20塩見岳〜10:20塩見小屋〜12:19本谷山〜13:32三伏峠小屋

皆準備が早くなってきて、1h少々で出発。小屋の方に挨拶をしていく。 台風がだんだん接近してきていたので、暴風域につかまらないうちに塩見を越えようと急ぐ。稜線上では暴風雨が吹き荒れていた。ほとんど休憩も取らずに、塩見小屋まで駆け抜ける。小屋からは樹林帯に入るので、とりあえずひと安心。展望が全くなかったのは残念だが、また次回来よう。 三伏峠小屋でテントの受付をすると、こんな日にテントで大丈夫か?と言われる。案の定大丈夫なんかではなかった。台風は夜中に直撃したようで、フライはめくれ上がり、雨が進入し放題だった。特に石原の所で被害が大きかった。また、フライも破けてしまった。

8/26 晴れ
4:00起床以後沈殿

天候は台風一過で申し分ないのだが、昨日の1年の疲労と体調を考え、沈殿とする。皆で一斉に物干し大会。

8/27 晴れ
4:00起床5:00出発〜7:15塩川バス停

途中下山することにする。 皆生活技術が身についてきたようで、早々に出発。 塩川までときどき○/10という表示がある。ひたすら下って塩川小屋へ。バスのことを聞くと、今年はもう終わってしまったとのこと。仕方なく、携帯が通じる場所まで歩いて、タクシーを呼ぶことにする。角が辛そうだった。 結局途中で民家を見つけ、そこで電話を借りてタクシーを呼び、伊那大島駅へ。近くの温泉で打ち上げをし、その後解散。

全体の反省

○途中下山の経緯
角の腰痛が悪化し、歩くことに支障をきたすほどであったこと、石原のシュラフや防寒着が濡れてしまい、低気圧が接近していたため乾かすのは難しかったこと、(これは結果的に外れてしまった。)また台風の中でテントを張り、フライが破けてしまい、次に雨が降ったら耐えられそうになかったことなどから、途中下山を決定した。

○反省
上記のことは、台風が接近しているときに無理に行動したことが原因で発生したものである。台風は予想外に早く通過してしまったので、熊ノ平で沈殿していれば問題なかったと思われる。 沈殿を2日続けてしまうと、計画上完走できなくなるという焦りもあり、それによって1年に無理をさせてしまった。 1年前からの目標であった南ア縦走を成功させたいという気持ちが入ってしまい、後輩に対する細かい気配りができていなかったように思う。結局通信に書いたように、感情に振り回されてしまった。 今後は精神力の増強を課題として、活動に取り組んで行きたい。また、定着の時には1年の行動について気づいたことは言うようにしていたのだが、縦走に入ってからは口出しすることが少なかった。細かいことでも、注意するようにしたい。 体力面では、少し心配していたのだが、あまり問題はなかった。生活技術も日数を重ねていく中で、だんだんと身についたようだ。1年、とくに角は、腰痛を抱えながらも良く頑張ってくれたと思う。

個人感想・反省

前田一樹(1年)

今回は九大山岳部入部後初めての長期合宿であるとともに、初の南アであった。高校の縦走と比べると、荷物ははるかに重く、日程も倍以上。ということで、少々ビビリ気味だったが、合宿前に、大介先輩に荷物をチェックしてもらったので、ムダ歩荷はほぼ避けることができ(小銭減らしにも成功)、比較的快適な入山ができた。途中、アクシデントにより少し荷物が重くなったが、気合と根性でなんとかがんばれた。台風による被害のために、途中下山になったことはとても悔しかった。
〜反省〜
まず、肩が弱すぎるということだ。荷物が重くなると、すぐに肩が痛む。合宿全体を通して、体力的には大丈夫だったが、とにかく肩が弱かったので、今後は肩の筋力をつけていきたい。また、寒さに弱すぎることを実感した。寒さに負けない強い精神力・体力を育んでいきたい。
〜感想〜
雨天が多かったが、晴天のときに見渡せる絶景には深く感動した。3000M級の山々はやはり高く、気持ちよかった。見えそうで見えない富士山に心奪われた。熊ノ平小屋では「森のクマさん」が頭の中を離れなかった。台風の中での塩見は、迫力があり、自然の偉大さを感じた。短期間ではあったが、下界では決して味わうことのないすばらしい体験ができ、とても楽しかった。
〜抱負〜
次回の縦走合宿では、万全の状態で全日程制覇したい!!!

角朋彦(1年)

今回初めて縦走をしてみてみんなに非常に迷惑ばかりかけてしまいました。行かなければみんなが最後まで行けたんじゃないかと後悔してます。台風の時期とぴったり重なってしまい精神的にまいってしまいました。これからは心身ともに鍛えて頑張っていきたいと思います。短かったけどかなり大切なものを身につけて自分のものにしたと思いました。いい経験ができました。

石原耕一(1年)

定着合宿を終えてすぐ、当時は疲れていたものの縦走合宿には影響ないと考えていましたが、今考えてみると気が張っていて真の疲れが直接体に現れていなかっただけのようです。さすがに三日休みがあったとはいえSBでは疲れはあまり癒せず、甲府でもちょっと不快な事件に巻き込まれ、精神的にも身体的にもすぐれない状態で合宿に入ってしまいました。入山日は早朝から雨で途中から土砂降りになり白根御池小屋で待機せざるを得ない状態でした。しかし待機したかいがあって雨は小降りとなり登攀途中の樹林限界に差し掛かるころには、雨は完全にやんでいました。そのまま予定時間よりも早く北岳肩ノ小屋に到着し一日目が終了しました。二日目はまず小太郎山まで空荷で往復しましたが、日の出前で暗く小雨が降る中、道らしき道もなく、小太郎山もはっきりせず撤収のような形で引き返し、熊の平小屋へ向かいました。途中間ノ岳付近で雨に降られましたが、それ以外ではからっと晴れた天気のいい日でした。(ただ当時台風が接近していたことを考えると、嵐の前の何とやら……だったのかもしれません。)小屋に着いた時は自分の体力のなさを憂うことすらできないほど疲れ果てていました。三日目は台風が接近していることもあって早朝から風と雨が強い中、三伏峠小屋までアタックしましたが一日中雨風ともに強く、しかも時間がたつにつれて強くなっていったので、もう辛いの一言につきました。しかも暴風雨の中でのテントの設営だったので水がテントの中に入り、自分の場所が一番低かったらしく時間がたつにつれ浸水がひどくなっていき、ついにシュラフをはじめとするすべての道具、食料が水に浸かってしまいました。本来ならあるまじき事態なのでしょうが不可抗力だったと思います。台風がかすっただけとはいえフライが損傷するなどの被害を受け四日目は沈殿、五日目に撤収で下山したのですが、飯田駅でSBしようとした時、自分の気が緩んだこともあったのか、急に熱を出してしまい前田君と角君に迷惑をかけてしまいました。
 縦走合宿を終えての反省は、体力のなさが一番にあげられます。合宿に参加できる最低限の練習はこなしてきましたが、さすがに長期合宿に耐えられるまではついていませんでした。体力作りはこれからの活動に向けて一番の課題です。とは思ったものの、はじめは漠然としか考えることしかできず不安もあった山の中での長期合宿をすごしたことで、自信・達成感(のようなもの、よく説明できないけど)がありました。(それだけ自分にとって山での生活が苛酷な環境だったのかもしれません。)

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