2007年度夏合宿(縦走) 〜北アルプス〜

9月21日(金) 晴れ
 夜行バスは予定通り、定刻よりも遅れて名鉄バスセンターに到着した。JR、松本電鉄、バスと乗り継ぎ、上高地到着。荷物預け、登山届け記入などを済ませ、遅い入山となる。
 なだらかな道をひたすら歩く。徳沢まで来てまだ余力があり、また翌日の行動を少しでも楽にするため、横尾まで頑張ることにした。
 終盤になると皆 疲れが見え始め、「たきこみご飯」を合言葉に足を動かす。横尾には17:30頃到着。テントを張り、さっそく夕飯の準備にとりかかる……が、五目御飯の素は誰のザックにも入っていなかった…。仕方なく、差し入れに頂いたものをかき集め、どうにか夕食にありつくことができた。
夕食:“差し入れの炊き込みご飯”





9月22日(土) 晴れ
 やや寝坊気味で起床。まだ標高が低いためか、昨夜は全く寒くなかった。 朝食はサンドイッチ。寺司が2つ、他は1つずつ食べた。
 ヘッドランプの明かりを頼りに歩き出す。気温9度、快晴。テントサイトから数十秒で樹林帯の急登が始まる。こまめに休憩を取りながら登り続けること3時間半、標高差1000mを登りきると、稜線上には奥穂高〜槍の展望が待っていた。 全行程で体力的に最もきついであろう区間を終え、長めの休憩をとる。
 稜線上のルートは比較的なだらかで歩きやすかったが、常念岳に至るまでにいくつもピークがあり、常念岳が遠く感じた。差し入れとしてもらったものが疲労した身体によく効いた。
常念岳山頂ではガスが出ていて空は見えなかったが、下のほうには本日の幕営地となる常念小屋の色とりどりのテントが見えた。残りの行程が目視できるほどとなったので、山頂で長めの休憩をとる。常念小屋まで駆け下って行くころには天気は回復していた。
 到着が遅かったため、テントスペースはいい場所が残っておらず、ガレた斜面を整地してテントを張る。夕食はポトフ。寒い夜には身体が温まり、また調理が簡単なため山での食事に適していた。途中からはK氏の計らいによりトマトベースとなる。
 夕食:“ポトフ&トマトベースポトフ”



9月23日(日) 晴れ・曇り
 夜は思っていたよりも冷え込むことはなかった。常念小屋を発ち、8:30、ほぼ参考タイム通りで大天荘に到着。さすがにこの時間からテントを張る人はおらず、昨日と違いテントサイトの一番いい場所を陣取ることができた。
 テント設営を済ませた後、不要な装備は置いて軽荷で燕岳までのピストンへと出かける。大天井〜燕岳間の縦走路は比較的なだらかだったが、距離はあるので決して楽ではない。道中、美味しそうな雷鳥に出会うことができた。
 燕山荘は多くの登山客で賑っていた。さらに30分ほど歩くと燕岳山頂に至る。緑の斜面に花崗岩の白が映えるきれいな山だった。
 燕岳に背を向けると、あとはここまで歩いてきた道をひたすら歩くのみである。ただただ歩く。
終盤になると、前日からの長時間歩行のためか、寺司を除いてかなり疲弊していた。
 夕食はだんご汁。ただし、だんごの代わりに餅が入っている。疲労困憊のため、荒木・北島はほとんど食べることができなかった。
 夕食:“だんご汁”




9月24日(月) 晴れ
 「奥穂から槍まで見える!」 テントの外から誰かの声がした。あわてて飛び起き、外に出る。振り返ると、青空の下に3000m峰が鎮座していた。
 テントサイトから大天井岳山頂まで10分なので、手ぶらで往復することにした。すると、またしても雷鳥に遭遇。しかも、手が届くほどの至近距離だった。
 テントサイトに戻り、撤収、そしてのんびりと歩き出す。3時間あまり歩くと、早くも本日の幕営地、西岳ヒュッテに到着した。
 昨日に引き続き、今日もテントサイトに一番乗りである。念入りに整地してテントを張る。
 ひとり元気すぎる寺司は、ひとりで西岳山頂へ向かった。テントサイトから西岳山頂までは一望することができる。しかも、声も届く。  緑の斜面を駆け上る寺司…。こっちを振り向いたかと思うと、彼は不意に……吠えた。
 明日は朝早いので、今日は早めに夕食の支度にとりかかる。といっても、‘インスタントちゃんぽん’なので、お湯を注ぎぎ、数分でできあがった。また、今日の炊飯は、数時間、米を水に浸していたため、比較的上手くできた。
夕食:“インスタントちゃんぽん”



9月25日(火) 晴れ・曇り
 出発して間もないうちから、クサリ・ハシゴ場が多い。ヘッドランプの明かりで僅かに照らされた長いハシゴが、夜の暗さの中へと垂直に下りている。
 水俣乗越が近くなる頃、空は白み始め、徐々にペースが上がってくる。と同時に高度感が増し、ハシゴを握る手にも力が入る。
 水俣乗越を過ぎると概ね上り坂となる。クサリ場は少ないが、ハシゴなのか階段なのか、微妙な傾斜の区間が多い。
 7:25ヒュッテ大槍に到着。ここまで険しい道が多かったが、食糧の分 ザックが軽くなったことと、前日の休養が効いたためか、ペース良く来ることができた。
 ヒュッテ大槍にザックをデポし、槍ヶ岳ピストンの準備をする。すると、ありがたいことに、ヒュッテ大槍の方が小型ザックを貸して下さった。
 ザックを下ろし、身軽になると、まるで水を得た魚。かなりのハイペースで槍ヶ岳山荘に到着した。ひと休みしていると小雨(霧雨?)が降り始めたので、レインウェアを着込む。
いよいよ最後の登りである。雨に濡れて滑りやすくなった岩場やハシゴを慎重に登っていく。
 そして、9:25、ついに槍ヶ岳山頂に到着。この合宿で唯一の3000m峰である。残念ながら山頂からの景色を臨むことはできなかったが、それは次の機会にとっておくことにしたい。
 槍ヶ岳をあとにし、ヒュッテ大槍で荷物を回収すると、一気に槍沢を駆け下っていった。 振り返ると、この高度においてもなお豊かな緑が広がっており、ついさっきまで霧の中にあった山々は僅かに残った雪渓をその山肌に抱え、全容をあらわにしていた。
 16:30、5時間半の下りを終え、全員無事に下山することができた。









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