2008年度 春合宿  〜氷ノ山〜

 

2008325日(火) 晴れ

 

 早朝5時に姫路駅に到着し、そこから電車・バスを乗り継ぎ午前10時に登山口に至る。

 ここに来るまでの道にはほとんど雪は残っていなかったが、登山口からは一面雪に覆われていた。

 10:50、ヤッケを身に纏い、アイゼン装着、ピッケルを握り締めて いざ出発。 雪山といえども、3月の日差しの下、重装備で雪道を歩くと暑い。早々とヤッケを脱ぐ。松下に至ってはタンクトップ1枚になっていた。

 登山口の案内板にも書いてあったが、このルートは健脚者向けルートで、氷ノ山に登るルートの中で最も体力的にきついという。実際、体力の消費量に比例して標高が上がっていった。

 標高が上がるにつれてさらに雪深くなり、先頭を交代しながら歩いていく。行程が終盤に差し掛かるころ、翌日目指す氷ノ山山頂を望むことができた。遠望する限り山頂はなだらかで広く、ピークは分かりづらいが、山頂避難小屋を目視できたのでそれと分かった。

 13:08、本日の目的地、氷ノ山越避難小屋に到着。わずか2時間余りの行程だったが、さらに進むには時間が足りないためここで一泊する。

 避難小屋前の斜面でしばし雪と戯れた後、時間があったので雪洞を掘ることにした。が、天気が急変、雨を伴って強風が吹き始めたので撤退。その後、雨はみぞれに変わり、夜には近くで雷鳴が轟くようになった。

 

 

〔補足〕避難小屋の前の斜面はまるでスキー場のゲレンデのようだった。あいにくスキー板は持ち合わせていなかったが、代わりのものなら一人一本持っていた。スコップである。 これがなかなかの優れもので、ソリの代わりにして滑走することができる。うまくバランスを取ればかなりの距離を滑走できる。が、スキー場と違ってリフトが無いため、下る距離はほどほどにしたい。しかし、安定性、積載量、操縦性など、ソリとしては銀マットのほうがスコップより優れていた。

 

 

 

 

2008326日(水) 曇り

 

 3:40分頃起床。手早く朝食をとり、パッキングを済ませ、5:02山頂を目指して出発。外に出ると昨夜の荒天はおさまり、月の光が雪で覆われた斜面を青白く照らしていた。

 氷ノ山越から氷ノ山山頂までのルートは一部やせた尾根がある。その分、ルートを誤る心配は無いが、雪で覆われているため慎重に通過する必要があった。

 尾根の右側、すなわち南側に雪庇らしきものが見られたが、ほとんど発達しておらず、雪庇を踏み抜くといった心配は要らなかった。むしろ、心配すべきは北側斜面である。南側斜面には木が生えているが、北側斜面には生えていないため、大人数で足を踏み入れると雪崩を引き起こさないとも限らない。このような区間では一人ずつ通過するようにした。

やせた尾根といえども、ひとりが歩くには十分な幅があるのでいいペースで山頂まで近付いていった。

山頂が目前に迫ったところで、コシキ岩に至る。巻くか、登るか。少し先まで偵察に行き、結局、巻くには雪崩の危険があるため、登ることにした。

普段ならばそのまま登っていくところだが、実践練習になるとの判断でザイルを出すことにした。圓井のビレイにより荒木がコシキ岩に登る(スタカット)。岩とピッケルを支点にフィックスを張り、後続のメンバーも無事に通過した。

コシキ岩を越えると山頂まではもう一息である。自分たちが立っている稜線が足元から山頂へと続いているようすが分かる。

最後の登りを終え、7:34氷ノ山山頂に到着。昨日、遠望したとおり、山頂は広々としており、三角点の存在が辛うじて山頂の場所を示していた。

山頂避難小屋で30分ほど休憩をとり東尾根から下山を開始する。ここからは完全に下りのみの行程であるため体力的にはとても楽である。しかし、実際はここからが一番難しい区間で、計画当初より最も心配していた区間である。登ってきた西側の尾根と異なり、東尾根は幅が広いためルートファインディングが難しいのである。

実際、尾根は雪で覆われ、トレースもなければ看板も赤テープも無い。地形図とコンパスのみが頼りだった。

そして心配していたとおり、神大ヒュッテから支尾根に入るところでおそらくルートからそれ、遠回りしてしまったと思われる。目指すべき尾根は特定できていたものの、急傾斜の斜面を歩くことになり余計に体力を消費してしまった。

本来の尾根にたどり着くと、そこからの下りは快適だった。ほどなくして東尾根避難小屋至る。雪の量が減ってきたのでここでアイゼンを外す。

ここからは樹林帯の中を通る。登山道はあるものの、雪で埋もれており、足場が狭く非常に歩きにくい。

10:57車道に至り、下山完了。

雪と戯れ、さらに遠回りしたために時間が押していたので、バス停までの道は走って下りた。どうにかバスに乗り遅れずに済んだが、全行程を通してこの区間が最もきつかったことは間違いない。

 

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